茨城のB級スポット 「東筑波ユートピア」に行った話 前編
B級スポットとは、いわゆる「珍スポット」と称される人口建築物のことで、場違い・時代錯誤・ナンセンス・存在目的の不明瞭さ・ノスタルジック・癖・奇怪といった属性を帯びたもののことを指す。バブル期に建設されたものが多い。ある種の宗教性、ノスタルジー、アウラに惹かれ、訪れる好事家らが一定数存在する。
今回は茨城県石岡市にあるB級スポット「東筑波ユートピア」を訪ねた。
東筑波ユートピアへの道は険しい。うねうねと曲がる山道をひたすら車で上がる。まず車がなければここへ辿り着くことは至難の業である。
入り口付近の駐車場へ車を止め、いざ中へ。木々に覆われており外から施設の概要を知ることはできない。
古いスピーカーから「東筑波ユートピアの歌」が延々と流れている。歌っているのは素人だろう。ここはどのような施設なのか?
み~んなみ~んなえ~がおの~♪
ゆ~らゆ~らえ~がおの~♪
ゆ~と~ぴあ~~♪
ゆ~と~ぴあ~~♪
この階段を上り、入り口まで行く。錆びた鉄パイプが、過ぎ去った時間を想起させる。
中に入ると券売機がある。係員は誰もおらず閑散としている。チケットを剣に刺しておいてください、とだけある。1200円(高い)を支払い、建物内を見回すと、猫やイノシシが部屋で飼われている。
猫は元気で、人が来るとエサをもらえると思い一目散に窓のところへ。ちゃんと食べているのかな。
「東筑波ユートピア」は動物園(のようなもの)だった。しかしながら、生息する動物の種類と比率、そして展示のしかたが他の動物園とは大きく異なる。
たとえば、
魚は一匹もいない。
なんと猿が檻なしで直接展示されている!むきだしの生。
そして・・・
犬
犬
いぬ
イッヌ
犬!
犬がとても多い。彼らのうち一部は、受付でリードを借りて園内を自由に散歩させることができる。放し飼いにされているものは大人しく、さわって楽しむこともできる。それにしても犬が多い。
犬の坂道を上ると、新たな建物を発見。
どうやらこの建物を出たところに、また猿の檻があり、さらに進むと裏手の山に行けるらしい。
ずっと流れている「東筑波ユートピアの歌」にも辟易してきたので、中へ入ってみることにしよう。
私は進んだ。
この後、ここ東筑波ユートピアの知られざる歴史、この施設の存在理由、そしてこの世に生を享(う)け、生きていくことの意味について思い知らされることになろうとは思わずに...
後編へ続きます